【間取り変更に伴う約束事の再確認について】構造の違いと注意点、法改正のポイント
- 本田 善郎
- リフォーム情報
まだまだ残暑厳しい中に月日は確実に季節の循環に従い、
秋への移行を深めつつあります。
この時期は台風シーズンへの突入に対しても気を配りたいところです。
先月は例年になく異常な大雨や地震にさらされ、
大きな被害を受けた地域も全国的に広がり、今もその爪痕を大きく残しています。
日本は特有の島国であり、自然災害も多発する独特の環境・地理的位置に属しています。
日頃からハザードマップ等には関心を寄せ、
少なくとも自分の居住地域の情報共有と万が一のための安全確保、
食糧備蓄対策や避難先・避難ルートの確認は、
最低限必要な身を守るための行動です。
近い将来、南海トラフ巨大地震が予想されている中、
今起きている事実を踏まえて「自然との共生」を一つの大きな転機と捉え、
今後の展望を明るく躍進するための材料として受け止められるかが、
次へのシフトへの大きなカギと言われています。
さて今月は、「間取り変更に伴う約束事の再確認について」と
お題を立ててみました。
間取り変更が、対象建物の構造や仕上げ等に大きく影響されるのをご存知でしょうか?
建物構造による「間取り変更」の特徴と注意点
住宅の間取りを変更する際、その自由度や制限は「建物の構造」によって大きく異なります。
1. RC造・鉄骨造(ラーメン構造)の場合
主にマンション等で見られる「ラーメン構造」は、
躯体をフレームで剛接合することにより堅牢な外部枠組みを構成し、
耐震性能の向上を図る構造です。
・自由度: 躯体を残してスケルトン状態にできるため、
間取り変更の自由度が非常に高いのが大きな特徴です。
・水廻りの注意点: 床下の懐(空間)が浅いため、
配管が長くなると排水勾配が取りにくくなります。
PS(パイプスペース/共有部分)の位置から大きく移動できないため、
水廻りやトイレの計画には配慮が必要です。
・老朽化対策: 築古マンション等の場合は配管自体の老朽化が目立ちます。
リノベーション時には新規での配管引き回しを検討すると、
将来的な水漏れの心配もなく安心です。
2. 木造住宅(軸組工法・2×4工法等)の場合
木造住宅は、壁・床・屋根・内部間仕切り壁等を柱や梁、
接合金物を用いて内外全体を通して耐震性能の向上を図る構造体です。
・自由度: 内部の間仕切り壁も構造体の一部として機能しているため、
安易に壁を取り払うと耐震性能の低下に直結します。
そのため、ラーメン構造に比べると間取りの変更度は低くなります。
・水廻りの注意点: マンション等に比べて床高に余裕があるため、
水廻りやトイレの位置変更の自由度は高くなります。
快適性と耐震性の両立|建築基準法改正のポイント
間取り変更は今よりも快適な暮らしを求めて行うものですが、
それによって根本的な建物の構造強度や耐震性能が低下してしまっては
本末転倒です。
近年の建築基準法改正に伴い、
木造住宅のリフォームや間取り変更における環境も大きく変化しています。
・構造計算(許容応力度計算)の重要性
確認申請時の構造計算書提出の義務化や耐震補強数値の引き上げに伴い、
間仕切り壁の壁量もこれまで以上に必要となりました。
大きなスパンでの大空間へ間取り変更を行うには、
これに対応できる技術力と、緻密な「許容応力度計算」が不可欠です。
(※許容応力度計算は、簡易的な壁量計算とは異なり、
柱や梁一本一本、基礎から地盤に応じて安全性を確保する計算です)
・リフォーム時の「建築確認申請」の義務化
主要構造部(柱、梁、2階以上の床、壁、屋根、階段等)の一種過半以上の修繕・
模様替えを行う場合、200㎡以下の平屋戸建てを除き、
建築確認申請の手続きが義務化されました。
そのため、改修計画には申請手続きの予算も組み込んでおく必要があります。
建築確認を受けることは、
建物全体の仕様(基礎から屋根、内外装、耐震性、耐久性)のチェックを受けて
安全性の「お墨付き」を得ることです。
住む側にとっては住まいの安全確保、ひいては資産価値の向上につながります。
これからのリフォームに求められる性能と最新技術
間取りの変更に合わせて施工をおすすめしたいのが、
「耐震性・耐久性・断熱性・省エネ性」の確保です。
建築確認が不要な規模のリフォームでは予算の関係上後回しにされがちですが、
本当の快適性を求めるのであれば、
こうした根本的な性能向上をぜひ予算内に組み入れるべきでしょう。
税制優遇も受けられる「長期優良住宅化リフォーム」
新築における「長期優良住宅」と同様に、
リフォーム工事でも条件を満たせば「長期優良住宅化リフォーム」の申請が可能です。
採択されれば税制優遇措置や補助金などのメリットも受けられますので、
ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
木造の弱点を克服する「木造ラーメン構造」
昨今では、木造住宅であっても専用の強力な金物や集成材を使用し、
許容応力度計算を用いた「木造ラーメン構造」の建物が認可・注目されています。
これにより、木造でありながらスケルトン・インフィル
(構造体と内装・設備を分離する考え方)の自由度が増し、
将来的にもRC造のように柔軟な間取り変更が可能となりました。
木造住宅においても革新的な技術により、構造設計の自由度は大幅に向上しています。
間取り変更をご検討の際は、単なる見た目や配置の変更だけでなく、
建物の「構造」と「安全性能」を見極めた計画が大切です。
理想の暮らしと安心安全な住まいづくりを両立させるため、ぜひお気軽にご相談ください。




