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設計者が考える、キッチン通路幅のちょうどいい距離感

  • 松尾 光
  • 設計★提案

キッチンの通路幅は、図面上では数値でしか見えませんが、

実際の使い勝手を大きく左右する非常に重要な設計要素です。

設計者の立場から言えば、

「最低寸法を満たしているか」ではなく、

「その家族の動きに合っているか」を基準に考えるべき部分だと感じています。

 

一般的によく言われるキッチン通路幅は、単身や夫婦のみであれば80~90cm、

複数人で使う場合は100~120cm程度が目安です。

ただし、これはあくまで“平均値”であり、万能な正解ではありません。

冷蔵庫の開閉方向、引き出し収納の奥行き、

食洗機の有無など、要素が一つ変わるだけで必要寸法は簡単に変化します。

特に注意したいのが「作業中のすれ違い」です。

調理者の背後を誰かが通る動線がある場合、

90cmでは心理的にも物理的にも窮屈になることが多く、

設計段階で一段階余裕を持たせる判断が重要になります。

図面上で人型を描いてシミュレーションすることもありますが、

実際には“一歩下がる”“体をひねる”といった無意識の動作が積み重なります。

 

また、キッチン通路は広ければ良いというものでもありません。

120cmを超えると、調理中の移動距離が増え、かえって作業効率が落ちるケースもあります。

特にI型キッチンでは、シンクとコンロの往復距離が長くなりがちで、疲労感につながります。

設計者として大切にしているのは、「数値」ではなく「暮らしの再現」です。

朝の忙しい時間帯、買い物帰りの動線、家族との距離感。

こうした日常の場面を具体的に想像しながら通路幅を決めることが、

使いやすいキッチンにつながると考えています。

数字はその結果として導き出されるものであり、目的ではありません。

 

 

 

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松尾 光
松尾 光
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